MICT
法・工融合による新医療システム研究拠点

研究拠点の概要

研究テーマ: 医療問題の法的・科学的対策の研究


研究目的

 医療に対して、益々幅広い問題と課題に応えていくことが日本のみならずグローバルな観点から要請されており、医科学、医療技術とともに、法制度を含む社会制度についても様々な革新が必要とされている。
そこで、医学・医療、科学技術、法学や経済・経営学などの社会科学の分野にまたがる取り組みにより、医療をめぐる過誤、リスクに対する対処、新技術の安全で効率的な導入、デバイスラグ・ドラッグラグなどに関して現状の問題点を明らかにしつつ、改善や革新の方向性を見いだし、具体的な提案を行う。
 特に、創薬や先端科学技術に基づく医療機器のValidationや治験のための法制化とその執行に関する行政などの医療に関するレギュラトリー科学(Regulatory Science)に関して、理工学、医学と法学、経済、経営の文理融合領域の研究を推進する。

1.研究内容

 医療行為と医療システムにおける問題点と課題を、特に技術面と法制度面から分析し、新しい技術や法制度の導入による解決法を提案する。そのために、本学の未来情報通信医療社会基盤センター(MICTセンター)を中心に、横浜市立大学先端医科学研究センター、特定非営利活動法人ライフイノベーション総合支援機構(KSLION)などと連携して、問題の探索と解決を総合的に検討する。

2.研究方法

 医療行為と医療システムにおける問題点と課題を医療現場における特徴的な事例から分析する。そのため、医療現場や関連機関に対する調査、関係者による検討会などを開催する。並行して、工学研究者と法学など社会科学研究者による分野融合の研究の場を設定し、具体的な解決策・革新策を調査研究する。京浜臨海ライフイノベーション総合特区におけるMICTセンターやKSLIONなどの連携により、ボディエリアネットワーク(BAN)などの臨床研究や社会実験により、レギュラトリー科学に基づく問題探索と解決を推進する。

3.特徴

 医科学、医療、理学、工学の自然科学と法学、経済、経営の社会科学の研究者が分野にまたがって研究活動を行い、総合的な社会システムとしての医療の問題解決と革新に資する。特区を活用し、現実の医療問題の解決に直接貢献することを重視する。

4.将来構想

 医療を含めて重要な社会問題に対して理工系、社会科学系の融合による総合的な取り組みを行い、問題点と課題を解明し、解を見いだす全学的な分野横断の社会システム研究・教育センターへと発展させる。計画されている横浜国大・市大連携大学院のコアプログラムとして、定常化を目指す。

研究期間:平成24年7月1日 ~ 平成27年7月30日

拠点メンバー

 河野 隆二   拠点リーダー
          工学研究院知的構造の創生部門 教授
          未来情報通信医療社会基盤センター センター長
 内海 朋子   国際社会科学研究科 教授 
 塩見  正   未来情報通信医療社会基盤センター 客員教授
 杉本 千佳   工学研究院知的構造の創生部門 准教授
  (以上、横浜国立大学)
 根本 明宜   横浜市立大学医学部 医療情報学 准教授、
           横浜国立大学 大学院工学研究院 博士課程


トピックス

医療ICTシンポジウム(SMICT2013)で、内海准教授がパネリストで発表・討論

 2013年3月5日、横浜市みなとみらいのパシフィコ横浜会議センターにて、第6回目の医療ICTシンポジウム(SMICT2013)を横浜国立大学の医工融合GCOEプログラムと情報通信医療社会基盤センターの共同で開催しました。このシンポジウムは、ICTを核とする医工融合イノベーション、医療や保健システムの革新、幅広いアプリケーションや実用・産業展開と国際連携、そしてこれらで活躍する人材育成をめざしたものです。国内外の関係者約307名が出席して、最新の研究開発や事業の動向を把握するとともに情報を交換し、交流を深めました。   
          
http://www.mict.ynu.ac.jp/smict2013.htm
 このシンポジウムで、医工融合とさらに文理融合の横断分野で活躍するグローバル人材の育成を主テーマとするパネル討論において、内海准教授がパネリストとして発表・討論を行いました。内海先生は、科学技術と社会科学について法律学の観点から 新しい科学技術に対する社会の反応、リスクとベネフィットのバランスの法的な担保についての議論を踏まえて、医療融合・分野横断のリーディング人材の育成について論じました(以下に論点、項目のみ)。

    
    科学技術と社会科学~法律学の観点から~       
        横浜国立大学国際社会科学研究科 准教授 内海 朋子  

☆ 新しい科学技術が誕生したとき、社会はどのように反応するか
   ① クローン技術の場合
   ② 臓器移植の場合
   ③ 新薬の開発の場合
   ④ 新しい家電の開発の場合

☆ 社会におけるコントロールのあり方
   ① クローン技術の活用は禁止
   ② 臓器売買は禁止、臓器は特定の機関が仲介を行う
   ③ 治験という作業
   ④ 注意書きなどをつけて販売(事後的な規制で足りる)

☆ リスクとベネフィットのバランスの法的な担保
   ① 法律による担保は後から行われる
   ② まずは社会での議論
   ③ 方向性の確定
   ④ 立法化
   ⑤ 適用、事後の修正(法改正)

☆ 医療融合・分野横断のリーディング人材の育成
   ① 階層型のリーダー育成ではなく、分野別のリーダー育成
   ② 自分の専門を持ちつつ、他の専門家と協力しあいながら働ける人
   ③ 大教室での画一的な教育では期待薄。ディスカッション中心。
   興味の湧く対象を自分で探し、専門も自分で選ぶ。共同研究の評価方法の確立。



文科省H25地域イノベーション戦略支援プログラムに参画
    
革新的計測・評価技術開発によるライフイノベーション創生
        - レギュラトリーサイエンス推進拠点の形成 –


 横浜国立大学の未来情報通信医療社会基盤センター(先進医療のための法・工学融合研究拠点を含む)は、文科省H25年度地域イノベーション戦略支援プログラム「革新的計測・評価技術開発によるライフイノベーション創生 - レギュラトリーサイエンス推進拠点の形成 –」に参画し、特に、革新的先進医療機器のレギュレーション評価システムの研究やレギュラトリーサイエンスに基づく医工連携を担うリーダーとなる人材の育成において貢献します。
 なお、本プログラムの概要は、総合調整機関の神奈川県科学技術アカデミー(KAST)から発表されています。
        http://www.newkast.or.jp/press/pdf/press-H250909_01.pdf

 
平成26年度までの主要な活動

(1) 地域イノベーション戦略実現のための人材育成プログラムの開発及び実施
 レギュラトリーサイエンスに基づく研究開発等において高度な「科学的思考能力」を有するリーダーの育成を行う、また、地域における当該分野の研究者・技術者を対象にレギュラトリーサイエンスに基づく医学、工学の科学技術教育システムを構築する、目的で;

(a)横浜国立大学と横浜市立大学の医工融合教育カリキュラムを基に、医療機器の医薬品医療機器等法に関するレギュラトリーサイエンスの専門家育成プログラムの企画および運営をしました。

(b)医療機器に関するレギュラトリーサイエンスの研究教育を、京浜臨海部ライフイノベーション国際線略特区において定常的に実施する「実践スタジオ」の準備として、神奈川県受託事業により発足した「かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター」と連携して、人材育成、研究開発を推進しました。

(c)レギュラトリーサイエンスにより、医療用BANなどの医療機器のベネフィットとリスクの科学的解析による定量化などの研究を進めました。その成果として、BANの研究開発と産業化に必要なブレークスルーをレギュラトリーサイエンスに基づき達成できることを国内外に提唱しました。
 また、平成27年3月4日にパシフィコ横浜にて開催した「医療・ヘルスケアのイノベーション拓く医療機器レギュラトリーサイエンス」をテーマとした医療ICTシンポジウムSMICT2015において、講演とパネル討論「先端技術の研究開発とかながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンターの展開」を実施し、実践スタジオ教育での成果を公開し議論しました。   
 さらに、平成27年3月24-26日に葉山の湘南国際村センターにおいて、第9回国際医療ICTシンポジウム(2015 International Symposium on Medical ICT: ISMICT2015)を共催し、中日の25日に医療機器レギュラトリーサイエンスワークショップを開催して、啓蒙および研究開発の推進を公開しました。
 
  
ISMICT2016(左:全体会議、右:医療機器レギュラトリ-サイエンスワークショップでのパネル討論)


(2) 地域資金による主要事業「情報通信技術を利用した先端医療システムの開発」

 人体や機器に影響の少ない高速・高信頼情報通信技術を開発し、体に取り付けたネットワークにリンクした計測機器による健康管理・医療に役立つシステムの構築ならびにUWB無線通信方式による測位測距技術とその応用技術に関する研究を進めました。具体的には、複数WBAN環境における様々なQoSを考慮した誤り制御法についての検討、UWB-WBANにおけるユーザ間干渉及びシステム間干渉に対する干渉対策、レギュラトリーサイエンスに基づく医療用BANの侵襲性低減の解析、UWBレーダ技術を用いた乳がんの位置や形状の高精度推定法の検討を行ったところです。


神奈川県受託事業:
   「かながわ医療機器レギュラトリ-サイエンスセンター」の実施


 H26、27年度神奈川県受託事業として、H26年9月に「かながわ医療機器レギュラトリーサイエンスセンター」を、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略特区、国家戦略特区の横浜三井ビルに開設しました。本学の特許技術を含めて国際標準化IEEE802.15.6に成功したBANの社会実験を同センターおよびこれに隣接するオウル大学の日本研究所を活用して展開し、BANの医療機器としての薬事承認のための前治験を実施しています。

     
    
かながわ医療機器レギュラトリ-サイエンスセンター開所式 および施設公開(2014.9.25)


レギュラトリ-サイエンス研究会の開催

 H26年度より、上記「かながわ医療機器レギュラトリ-サイエンスセンター」において、毎週、本学各部局の教員、大学院生を中心に、市大、同センターが主催する産学連携コンソーシアム(30数社)企業などの外部メンバーと共に、レギュラトリーサイエンス研究会を開催し、研究教育を実践しています。

      
    
医療機器レギュラトリ-サイエンス産学連携コンソーシアム(設立説明会模様2014年)



新しい研究拠点として継続発展予定
 本センターは、2015年8月からは、以下の概念による新しいセンターとして継続発展する予定で準備を進めています。




関連リンク: 

  
河野研究室


横浜国立大学 未来情報通信医療社会基盤センター(医療ICTセンター)
  • 〒240-8501 横浜市保土ヶ谷区常盤台79-7
  • 電話・FAX 045-339-4490
  • e-mail : mict@ynu.ac.jp
Yokohama National University
MICT Center (Center for Future Medical Social Infrastructure Based on Information Communications Technology)
  • 79-7 Tokiwadai, Hodogaya, Yokohama, 240-8501, Japan
  • Phone & FAX 045-339-4490
  • e-mail : mict@ynu.ac.jp